チト難しい。

寺田寅彦は漱石門下の科学者として有名。
本業は物理学であるが、そっちの方面に疎いと言うか好きだが理解が追いつかないもので遠ざけていた。

そんな寅彦の二人の師、漱石と英国人物理学者レイリー卿との関係を元にしながらの著作。
筆者が物理の専門家であるからその方面の内容が多く、分り易く書かれているのだが基本的に物理学が良く分っていない人間にはチト難しい。
かなり物理学の部分の記述が多いので理系の人には面白いだろう。

今から100年ほど前の当時の物理学の状況や漱石一門との関係を著わしながら寅彦の様々な著作を取上げて掘り下げている。
相当に賢い人だったんだろうなと思うが、どの程度スゴイのかが分らないのは何とも申し訳ない気もしてくる。

文人物理学者と呼ばれる寅彦の面目躍如たる所だが、もう少し漱石との関係について書かれていても良かったように思う。
49歳で亡くなった漱石と57歳で逝った寅彦は共に早世の感じがするが、当時の医学ではどうしようもなかったのかもしれない。
二人の交流が叙情豊かに書かれているのが、愉しそうに見受けるが実際に二人はお互いを認めていたからであろう。